アンガーマネジメントと「怒り」の構造

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怒りの溜まっている人

最近話題の煽り運転や虐待やいじめの事件などで「なんであのくらいのことであんなに怒るの?」と感じる人は少なくないと思います。
あるいは逆に、自分の中に爆発寸前のマグマを自覚しながら「明日は我が身」とニュースを見ている人もいるかも知れません。

今、「怒り」のコントロールは大きな課題となっているようです。

「アンガーマネジメント」とは、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングのことで、下のグラフのようにその講座の受講者数がとても増えています。

アンガーマネジメント講座の受講者数グラフ

アンガーマネジメント講座の受講者数 アンガーマネジメント協会HPより

「怒り」の背景、原因、そして対処法について、私なりの思いを書いていきます。

アンガーマネジメントという言葉を知ったのは10年くらい前に、書店の棚で「見かけない言葉だな」と思い、そのタイトルの書籍を手にしたのがきっかけだったと記憶しています。

その本の内容はあまり覚えていませんが、そのような概念や取り組みがあって、アメリカなどでは一般的で我が国でも広まっているのだと知りました。

何でこのような本を手にしたかと言うと、
「怒りのコントロール」
「怒りの溜まった人」
というテーマに、私はだいぶ深く足を踏み入れていたからです。

「怒り」のワーク

もう20年以上前になりますが、あるワークショップに関わっていました。

不登校やAC(アダルトチルドレン)をテーマにしたワークショップでしたが、
参加者ご自身やお子さんの中の「怒り」を先ず何とかしなければならない場面もあり、
私はしばしばその人の相手役をすることになりました。

例えば、殴られたり(クッションを私の腹に当てて数十発!)
・・・その青年のお父さん役でした。他の参加者が見ている前なので、最初は多少抑え気味だったのが、次第にエスカレートしていきパンチが強くなって、私は危険を感じクッションの枚数を増やしました。・・・彼の拳の皮が破け血が滲んでいました。そうしてしばらく猛り狂った後、、、彼の中の怒りがほとんど鎮火しているのを感じました。泣いていました。

例えば、20代の女性に罵られたり、取っ組み合ったり
・・・私はその人のお兄さん役でした。「お兄ちゃんばかりがいつも可愛がられて!ずる~い!」わめきながら私に掴みかかってきます。私の中にスッとそのお兄さんが入ってきて「何いっているんだ、俺だって大変なんだぞ!お前なんかに俺の気持ちがわかるか~‼」10分間以上、お互いにわめき、取っ組み合って、、、彼女は憎かった兄への怒りは、だいぶ消えたようでした。

例えば、子どものいイライラして可愛がれないというお母さんと
・・・幼い頃に忙しい親に相手にされず、とても寂しかった。その記憶を、会場のみんなで一緒になって「つくりかえる」作業をしました。幼い頃の夕方、公園での遊びから帰宅という設定。留守のはずの家に、お母さんがいる。「ただいま」と彼女。「おかえり!」とお母さん役の人・・・それだけで彼女は泣き崩れてしまいました。しばらくして、近くで見守っていた小さなお子さんがお母さんに歩み寄り、お母さんがその子をギュッと抱きしめ、号泣しながら、「こんなにこの子が愛おしく感じたのは、初めてです」。

「怒り」はどこから来るのでしょうか?

ちょっと古いですが、月刊誌「致知」2011年1月号の幼児教育についての記事をご紹介します。

「致知」表紙

「対談 幼児教育こそ国の命運を決める 國米欣明(医学博士)潮谷愛一(九州ルーテル学院大学教授)」参照

医学博士の國米氏がその対談記事の中で、脳のある部位の機能が弱いと、
①自己抑制力(感情のコントロールができる人)
②感情移入の能力(相手の気持ちがわかる人)
③共感力(相手に共感できる能力のある人)
④物事を建設的に解決する能力(困難に遭っても前進する力のある人)
⑤顔の豊かな表情(生き生きした表情の人)
に欠ける、と述べています。
人の脳のその部位(眼窩前頭皮質)は、動物脳(大脳辺縁系。闘争、怒り、憎しみなどを支配)と理性脳(大脳新皮質。理性、知性道徳心などを支配)をつなぐ中継地点にあって、両者の調節の役目を持つのだそうです。
また、その「眼窩前頭皮質」をしっかり発達させるには
①乳幼児期に(3歳までに、脳の上記3箇所をつなぐシナプスが形成されてしまう。)
②十分な愛情に満たし(添い寝、おんぶ抱っこ、おっぱい。満たされないと、認めてもらおうとして暴力や引きこもりなど。)
③あと少しと言うところで、我慢をさせる。(この抑制回路=「断念の芽」が必要。ダメなものはダメという毅然たる態度。日本の家庭はこれが弱い。)
ということが大切であり、また
④虐待や強度のストレスによって、その機能が低下することがある。
とも記されています。

まとめると
3歳までに、愛情いっぱいで満たしてあげながら、あと一歩のところで我慢させると、理性で感情をコントロールできるようになり(キレない)、生き生きと他者と共感協力し合って、困難にもめげずに生きる力を得ることができる。
「十分に愛され満たされた」という土台が無ければ、他者としっかりした関係を作れず、自立することも出来ない状態となり、また、愛情を注ぐ一方で抑制することをしない欲求充足型の子育てでは、我が儘なだけの子になってしまう。

かなり長くて難しい記事をとても乱暴にまとめてしまいました。ご興味のある方は是非その記事を直接ご覧になってください。

そして、この記事は、
「人は人によって人になる」という言葉がある、日本の今の課題はまさにこの言葉に尽きる・・・。
という文で結んでいました。

近年のこの国は、生身のぶつかり合いを避けます。
少子化、そしてもの心つく(3歳)前から、テレビ、ゲーム、バーチャルリアリティ、スマホ・・・
大人になっても「マニュアル」「忖度」「コンプライアンス」・・・

子犬同士が、子猫同士が、ケガをさせない程度にじゃれ合っている姿をよく見ますが、
小さい子どもが同世代同士で、喧嘩して、取っ組み合って、でも自然に仲直りして・・・というかつての姿は、もう幻想なのでしょうか。

結果的に「いじめ」「〇〇ハラスメント」「ストーカー」などが社会問題化するし、
当然、「アンガーマネジメント」の門を叩く人が増えるのでしょう。

では、現時点で「怒りが溜まっている人」はどうしたら良いのか? もう諦めるしかないのか?
(もちろん、そんなわけにはいきません!)
については、今回はすでに長くなったのでまた機会を改めます。

「怒り」の構造

ところで、なぜ「怒り」が蔓延する世の中になってしまったのか?
一言でいうと原因は「社会」であり突き詰めると「経済」だと思っています。

直接的には親子間などの人間関係の問題が怒りの原因となっている場合が多いですが、
そうさせる社会の構造があります。
社会(経済システム)の存続のために、政治や企業や学校などの組織が営まれ、個々の人間はその歯車として位置付けられていると考えるからです。
(その構造や過程については別記事「自由からの逃走」と「新しいつながり」「武器商人ブラックゴーストと自然農法」などに書きました)

例えば、上記した子育てを十分にゆとりをもってできる家庭は親は、どれだけいるでしょうか?

「生活できないかも知れない」「死んでしまうかも」という恐怖の支配が資本主義社会の動力源です。
「社畜」「ブラック企業」はもちろん、歴史的な「事件」「紛争」「戦争」などの背景にも「経済の支配」があります。
そこから「自由」にならない限り、「レミングの死の行進」の中にずっといなくてはいけない、ということになります。

しかし、それでは、私たちにも、社会にも、未来はないでしょう。。。

人々に怒りや欲求不満を植え付け、それを原動力とするこのシステムから自由になるために、考えられること、できることを書いていきます。

長い記事にお付き合いくださり、ありがとうございます。  合掌

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