「リミッター」をはずす 待っていたトマト

思い出
トマトの巨木

「リミッター」を解除する・・・可能か?

そもそも機械が適正な範囲で作動をするために設置された制限装置を「リミッター」と言いますが、最近はヒトの能力や可能性を抑制しているモノに対しても使うことが多いようです。

では、私たちにはどのような「リミッター」が設置されているというのでしょうか?

よく言われるのが「火事場の馬鹿力」
とても切羽詰まったギリギリの場面では普段の能力からは考えられないような「力」を発揮することを言いますが、もしその「力」を日常的に発揮していたら心身が持たないので「リミッター」が働いていると考えられています。

同様に「私達は脳の本来の能力の数パーセントしか使っていない」とは、よく聞く話です。

だとすると、条件や環境が整えば「リミッター」は取り除くことができるのでしょうか!?

あなたは「リミッター」の向こうの世界に興味がありませんか?
私は、そんな自由な世界を見てみたい。
そんな世界の中に生きてみたい。
もうそろそろ手枷足枷をはずしたカラダで、身軽に飛びまわりたい・・・

今日はその「リミッターを外したトマト」のお話です。(えっ、がっかりしました? そう言わずにどうか最後までお付き合いください!)

 トマトの巨木

一株から1万3千個
ふつうトマトは一株からせいぜい数十個がとれる程度のものなのですが、「リミッター」を取り除いたらなんと1万3千個もの実がとれます。
つくば科学万博(1985年)や映画「地球交響曲第一番」(1992年公開)で有名なハイポニカ農法(水気耕栽培) のことです。
ハイポニカのトマト

私は家庭用のハイポニカのセットでトマトを育てた経験があります。

私はこのホームハイポニカセットを使っていましたが、もっと小さいものもあります。そして構造が簡単なので自作もできると思います。
ポイントは、根の部分です。
上面の二つの穴のスポンジに種を播きます。
下の水色の部分は水槽で、右上部に見えるポンプでエアと培養液(液肥の混ぜられた水)が循環する中に植物の根が浸るようになっています。
ちなみに液肥は専用のものですが、一般のものとそれほど違いはありません。
もし条件が満たされていれば植物はほぼ永久に成長し続けることができるそうですが、水槽(80×66.5㎝、50ℓ)が根でいっぱいになって終了となりました。
畑(土)で育てた同じ品種の3倍くらいの生育の速度と量でした
映画「地球交響曲第一番」の中では、トマトの種を播いて小さな芽が出て、やがて9か月間で茎の直径が約10㎝、枝が直径10mにわたって育ち、のべ13,000個、最盛期には5,000個の実をつけた姿が描かれていました。

野澤さんとトマトの樹

野澤さんとトマトの樹

開発者である野澤氏の言葉です。(「龍村仁ライブラリー」より)

今の地球の環境の中で、トマトの成長を制約している一番大きな条件が何であるか、を考えた。その条件を一度人工的に取り除いてやれば、そしてトマトが成長の最初の段階で「自分はいくら大きくなっても大丈夫」と思いさえすれば、きっと大きくなる。

一番大きな制約条件は”土”だった。”土”は大部分の植物の母であり、命の源である。しかしそれは同時に命を制約しているものだ。トマトに限らず、すべての植物は土の持つ条件を自分の”心”で感知して今の姿をとっている。

実は、野澤氏の「トマト(植物)には心がある」という言葉を裏付けるような“事件”が起きます。
「待っていたトマト」の逸話。私はこの話が大好きです。
こんな内容です・・・

待っていたトマトの話

この映画の登場人物の一人メスナー(有名な登山家)から龍村監督に、山に登るから撮影に来るようにと連絡が入る。当初の予定から日程変更となったのだが、その時期はちょうどハイポニカのトマトの最盛期だった。イタリアでメスナーの取材中に野澤氏から、トマト全部おちてしまうよとの電話。しかし、メスナーの取材途中で帰るわけにいかず、予定の一週間遅れで兵庫県の現場に着いた。そして、巨木のようなトマトの枝に5000個の真っ赤に熟した実がなるシーンの撮影ができた。
おかしいなぁと野澤氏。本来ならば実が全部落ちてしまうはずなのだが・・・。そして撮影が終わったその夜、5000個のトマトがボタボタボタボタと一晩で全部落ちた・・・。

この映画でハイポニカのトマトは“軸”として位置づけられています。メスナーを含めて5組の登場人物が描かれていて、そのオムニバスを繋ぐ役目を、成長するトマトが演じていました。だから、このシーンは絶対に欠かせないものでした。
実は、撮影でたびたびトマトを訪れる龍村監督やスタッフは、自然にトマトに声をかけるようになり心が通うような関係になっていたらしいです。だから「ひょっとしたらトマトは待っていてくれるのではないか」「頼むから、待っていてくれ」・・・そんな思いもあったそうです。
そして、果たして、、、トマトは待っていたのでした。

(さらに)実は、私にも全く同じような経験があります。

わたしの「待っていたトマト」

私が現在農業をしているここでは、ビニールハウスの中でもトマトは気温の低下で11月中旬には枯れてしまうのが普通です。
しかし、その年の11月下旬に大きなイベントが入り、うちの目玉の作物である数種類のミニトマトにはどうしても頑張って欲しかった。
毎日、毎朝、寒さが増す中、「大丈夫かな?」とおそるおそるハウスの扉を開けていました。
そして、なんと、無事イベントのための収穫まで元気でいてくれたのでした。
イベントの前日、感謝を伝えながらたくさんの実を収穫しました。
そして、そのイベント当日の早朝・・・ハウスの扉を開けて愕然としました。
ぜんぶ、全部、枯れていたのです。
昨日とは全く別の姿、別の景色でした。
私は、そこに泣き崩れました。「ありがとう・・・ありがとう・・・」

だたの偶然だと思いますか?
それとも、「心」や「思い」がそこにあると、あなたは感じますか?

植物は「土」がリミッター⁉ 私たちのリミッターは?

いかがでしたか? 植物に設置された「リミッター」とその向こう側の世界の話でした。
「土」が一番の制約要因で、その「リミッター」を取り除いてやるといくらでも育つのだ、という野澤氏のお話。
そしてその実証としての「トマトの巨木」。
関わる人と感応し合う「心」がある(かも…)ということ。

植物にとって最も重要視される「土」が、最も大きな「リミッター」となっているという話は、とても示唆的です。
ヒトの成長や人生と重なり合うものを感じます。

では、私たちのリミッターは何だろう?
その向こうの世界は・・・?

機会をあらためて書いてみます。

 

プロフィール


与久呂(ヨクロ)農園は清流長良川の源流地、岐阜県郡上市の山間にある、無肥料自然栽培で米と野菜を作っている農家です。もうすぐ還暦の私ですが、幼い子どもを育てています。そんな日々の農業のこと、豊かな自然の中での子育てのこと、背景にある今の社会に対する思いや考え、そして農と食のネットワーク作りについて発信していきます。
(与久呂はわが家荒井家の屋号です。)
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